海に臨み、淡路島へと沈む夕陽がとても美しい場所に、この家は建っています。
「海甍」は「わだいらか」と読み、大海原にかかった屋根の下で、時間の流れを海にゆだねるような生活空間をつくる。という意図で付けました。
お住まいになるのは、子供達が皆独立した夫婦二人。 これからの二人の生活は、シンプルで、ゆったりとしいて、心休まる静かなものにしたい、というご要望でした。
今回の計画地は大きな敷地でしたが、眺望の良い場所には既存の建物があり、そのため海へ対しての間口に制限がありました。
そこで、全ての居場所から海が見える、という事に主題は置かず、それぞれの居場所において、理想とする海との関係性をキーワードとして抽出し、優先順位を決定し、これを基にした空間構成を試みました。
キーワードとは、例えば「二人で海を見ながらコーヒーが飲めるテラス」や「ソファに座り、波の音だけを聞いて過ごす静かな空間」といったシーンをつくるものです。
まず、これらのキーワードを単層の平面にレイアウトして行きます。その際に「キーワードが隣合う境界には、新たなキーワードが想像されるように」というルールを取り入れました。これは、シンプルな構成の中に複層的な空間が生まれ、より豊かな生活シーンを創出できるのではないか。と考えたためです。
最終的なプランは、異なる軸線をもつ、大きさの違う二つのボリュームが、透明なガラスBOXでつながれている、分棟形式のような形となりました。
Photo:Takumi Ota